北海道十勝・帯広を拠点に活動する、グラフィックデザイナー Susumu Kawabata の考え方について。
ロゴデザイン、ブランド設計、飲食店デザイン、SNSブランディングなど、
ブランドにまつわるクリエイティブをどのように捉え、形にしているのかを書いています。
農家をデザインする。農産物の価値は、伝え方で変わる
ロゴ・パッケージ・SNSで農家のブランディングが変わること
北海道十勝、帯広を拠点に活動している
グラフィックデザイナーの Susumu Kawabata です。
グラフィックデザイナーの Susumu Kawabata です。
丁寧に作っても、伝わらないことがある
同じトマトが、直売所に並んでいる。
品種も、産地も、値段もほとんど変わらない。でも一方は売り切れて、もう一方は残っている。この差はどこにあるのか。
農産物の価値は、食べてはじめてわかります。だからこそ、食べる前の接点のほうが、ずっと大事になる。手に取る瞬間、SNSで目に止まる瞬間、贈り物の箱を開ける瞬間。そのときに何が伝わっているかで、選ばれるかどうかが決まります。
作ることと届けることは、別の技術です。農家のブランディングとは、その「届き方」を整える作業だと思っています。
SNS ― 投稿の中身より先に、空気感が伝わっている
農家がSNSで発信するとき、多くの場合「何を投稿するか」を考えます。でも、見ている人に先に届くのは「どんな農家さんか」という印象です。
写真の明るさ、言葉のトーン、切り取る瞬間の選び方。そういった積み重ねが、フォロワーに農家さんらしさを感じさせていく。農産物の情報は伝えられても、それだけでは「この農家さんから買いたい」にはなりにくい。農園の空気感や、作っている人の姿勢が伝わったとき、はじめて遠くにいる人にも選ばれる理由になります。
私が拠点にしている十勝は、広い畑と大きな空が広がる農業地帯です。その景色が持っている力は本物だと思っている。でも、スマートフォンの画面に映ったとき、その力がどれだけ伝わるかは、撮り方と見せ方で変わる。どこの土地でも、同じことが言えます。
農家のSNS運用で大切なのは、投稿の頻度より、見え方の一貫性です。
パッケージ ― 言葉より先に、手が語っている
農産物のパッケージデザインは、商品を包むためのものではありません。
直売所に並んだとき、ギフトとして渡すとき、発送した荷物が届いたとき。その瞬間に見えるパッケージが、「どんな農家さんが作ったか」を先に伝えている。
清潔感があるか。文字が読みやすいか。その農家さんらしさが出ているか。
言葉にはされなくても、買う人はちゃんと感じています。丁寧に作っても、パッケージがその丁寧さを伝えていなければ、伝わっていないのと同じです。農産物のパッケージは、農家の顔が最初に出る場所です。
ブランド設計 ― 見えないものを、見える形にする
農家のブランディングというと、「ロゴをつくること」だと思われることがあります。でも、ロゴだけでは印象は揃いません。
SNSの雰囲気が投稿ごとに変わっていたり、パッケージとロゴの空気感がちぐはぐだったりすると、お客さんはそのズレを、言葉にはしなくても感じ取っています。
大切なのは、見た目を整えることより先に、農家としての考え方の芯を定めること。何を大切にして育てているのか。誰に届けたいのか。他の農家と何が違うのか。
その芯が定まると、ロゴも、パッケージも、SNSも、自然と同じ方向を向きはじめます。十勝でも、他のどこの産地でも、その構造は変わらない。何を作り、どう届けたいのか。その答えが見え方になったとき、農家はブランドになります。
農家のブランド設計とは、その農家さんらしさを目に見える形にしていく作業です。
ロゴ ― 5年後も、その顔でいられるか
ロゴをつくるとき、いつも思うことがあります。
これは、覚えてもらうためのものだと。
形を決める前に、たくさんのことを聞きます。なぜ農業を始めたのか。誰に届けたいのか。どんな農園でありたいのか。数字には出てこない、その人の温度のようなもの。それをすくい取ることから、ロゴづくりは始まります。
名刺に、パッケージに、のぼりに、SNSのアイコンに。ロゴはずっと使うものだから、今の気分だけで決めてはいけない。5年後も、10年後も、その農家さんを象徴できるか。そこまで想像しながら、形を選んでいます。
なぜこの形なのか。なぜこの色なのか。そこに答えられるロゴは、強い。ブランドが成長しても、迷ったときに戻れる場所になるから。
小さな農家こそ、ブランディングが強みになる
規模の大きな産地ブランドは、知名度と流通で選ばれることがあります。でも、小さな農家が選ばれるとき、理由は別のところにあることが多い。
商品の良さだけでなく、農園の空気感、育て方への考え方、届ける姿勢。そういったものを含めて、「この農家さんから買いたい」と思われている。
十勝で農家さんと一緒に仕事をしながら、そのことを何度も感じてきました。産地の知名度に頼らず、自分たちの農園として覚えてもらっている農家さんには、共通して「見え方の一貫性」があります。日本全国、どこの産地でも、同じことが言えると思っています。
農家のブランディングは、大きな投資ではなく、伝え方を整えることから始まります。ブランドは、一度つくって終わるものではなく、日々の接点の中で少しずつ育っていくものです。だからこそ、ロゴだけでなく、その農家さんに触れるすべての場面を、丁寧に整えていくことが大切だと思っています。
作ったものを、ちゃんと届く形に。そこから一緒に考えたい農家さんがいれば、まず話を聞くところから始めます。
北海道十勝(帯広)を拠点に、北海道内外のブランドや店舗、プロジェクトのデザインを承っています。
ロゴデザイン、ブランドデザイン、飲食店デザイン、SNSブランディングをご検討の方は、お気軽にご相談ください。